日記

日記 21.10.10 / 知床うとろ

利尻島から時計回りに屈斜路湖を経て、知床入り3日目。知床まで来たからには野生のヒグマが見たい。知床初日に道の駅で1万円分のクーポンを5,000円で購入できるチートセットを購入、ヒグマが見えるクルーズツアーに向かう。ツアーは3種類。距離順に硫黄山行き、ルシャ湾行き、知床岬行き。前日の道の駅の案内ではルシャ湾コース行きの小型クルーザー船はもう満席で、カムイワッカの滝まで行く硫黄山コースか大型船しか残ってなかった。パートナーは1番短い硫黄山コースで良いと言ってたけど、僕はどうしてもヒグマが見たくてルシャ湾(中間)か知床岬(一番長い)がよかった(硫黄山コースまではヒグマ見えない)。でも大型船は値段が高いしあまり近くまでいけないのと小回りきかないのも聞いていたので、どの船で行くかなかなか決められずにいた。その日の予約は諦め、ダメ元で翌朝イチに観光船受付センターが連なってるところへ行ってみる。1件目は満席、2件目(ゴジラ岩観光)でルシャ湾2人分空いてますかーと聞いたら、ヒップホップが好きそうなあごひげのお兄ちゃんが無線で誰かに確認して、良い席は取られちゃってるかもだけどねじり込めそうだよ〜と。観光客らしく双眼鏡も課金でレンタル。出発15分前。ラッキーだった。

13の番号をもらい、予約した順に船に乗り込む。先に予約した人が好きな席に座れる合理的なシステム。みんな一目散に2階席に流れ込んでいった結果、1階の後部座席がガラガラ。後ろの視界は広いし船の左右も行き来しやすいのでかえって良いポジションをとれた。残り物には福がある。これまたラッキー。

プユニ岬を越えて前日に知床自然センターの裏から散歩して上から見下ろしてたフレペの滝のふもとへ。ここは別称「乙女の涙」。その少し先にもチョロチョロと水が流れてる滝があって「男の涙」と呼ばれてるそう。あまり目立たないことから『男は人知れず涙を流すんですね〜』という船内放送。船内放送のおっちゃん、行きはずーっと喋っていて面白かった。そうこうしてる内に知床五湖の位置を越えてカムイワッカの滝へ。短いコースだとここで折り返し。そのままヒグマのメッカと言われるルシャ湾へ。しかし双眼鏡を覗くも中々クマが見当たらない。船内放送だと『今年は鮭が不漁だから〜』等不穏な放送も流れる…遭遇率95%とかで見えないことあるのか?と不安になりはじめた頃に『あ、いましたね〜私には見えますよ〜』と陽気な船内放送。ツアー客が一斉に双眼鏡と一眼レフを構えてキョロキョロ探す。「見えました?」「見えないっすね〜」「あ!見えた!」。距離にして50mくらい?写真を見返すと豆粒だけど、遠くても分かるクマのノシノシとした歩き方。人生初の野生のヒグマを目撃した。

しばらく観察して、程なくして船は折返し。帰りにも川の中で鮭を喰らう別の熊を見ることができた。目的を果たせて大満足。

午後戻ってきてからは、知床自然センター内にあるカフェ「BARISTART COFFEE」へ。北海道を中心に何店舗か展開してるコーヒーショップ。カウンター席から見えたのは羅臼岳かな、眺めが良い席で少し仕事タイム。電源はないけどWiFiは爆速でした。

クマと共にリモートワーク
メガスクリーンKINETOKO

まさか北海道の端で大迫力の映画を見れるとは。最初小劇場並の広さの映画館かと思いきや、4K映像、5.1chサラウンド、150席くらいある立派な映画館でびっくりした。ここで20分のショートムービー×2本を見た。1本目「THE LIMIT」はクマと人間の距離がどんどん近くなっている=限界が来ているという警鐘を鳴らすドキュメンタリー映像、2本目「知床の冒険」は1年を通して知床の野生動物や自然をこれでもかと美しく魅せる映像だった。一番好きなシーンは眠そうなキタキツネが雪の中の獲物目掛けてスポッと潜るシーン。

夕方。この知床自然センターの奥の方に車で少し行くと日本で唯一世界自然遺産内で泊まれる秘境の温泉宿があり、さらに日帰り温泉で行けることも知り、一目散に向かった。その名も「ホテル地の涯(ちのはて)」

そこに向かう途中、クマも出ないかな〜と半分冗談で言ってたら、川沿いにヒグマがいた。夕方で日が暮れ始めてることもあり、車がたくさん止まってる(いわゆるヒグマ渋滞)にはなってなく、道路から見下ろす場所であり十分距離があることを確認。今朝のクルーズ船よりも近い。「THE LIMIT」を見た直後、距離があるとはいえ結局自分も写真を撮りたくて車を止めてることに罪悪感を抱きつつ、生で見たい、写真を撮りたいという衝動を抑えることはできなかった。複雑な気持ちでシャッターを切った。まさか1日2度も見ることができるとは思ってもいなかった。

写真だと分かりにくいが真ん中がヒグマ

時間も時間だったので興奮冷めやらぬまま、温泉までの道中を進んだ。源泉かけ流し、水着着用で混浴露天風呂もあり。ロケーション最高だった。パートナーは混浴露天風呂が大の好みで、それは如何わしい理由ではなく『男風呂と女風呂に分けることができなかったくらい良いスポットだからその一箇所のみ=一緒にせざるを得なかった場所』。なるほどあながち間違いではなさそう。それを知ってか混浴露天風呂の印象はだいぶ変わった。

ここの宿ままさに「秘境」。何もない道中にいきなり豪華な施設が現れる。電波も通じないしWiFiもない。ソーシャルデトックスにはもってこいの場所。

身体が温まった帰り道、辺りは真っ暗。ハイビームでゆっくり進むとエゾシカやキタキツネがたくさん。まさにナイトサファリ。

知床はサプライズがたくさんだ。またお気に入りの場所ができてしまった。

#旅するデザイナー 🇬🇧×🇯🇵 1990年生まれ。広告代理店、スタートアップを経て2020年より日本中転々と旅しながらUI/UXデザインの仕事をしています。旅の途中で訪れた場所やその時々の感情について忘備録代わりに綴るブログです。2022年より南米バンライフ2人旅をしています。

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